星に願いを 5星に願いを 5ある年の冬のことでした・ 大きな風と、はげしい雨が降ったのです。 ラルは小屋で震えていました。羊たちの事が気になっていたのですが、外には出ることが出来なかったのです。 ラルは一睡もしなくて祈っていました。 「嵐はラルに試練を与え、ラルがどのように立ち向かってくるかを試そうとしているのじゃ。何が起こっても乗り越えなくてはならんのじゃ。人間にはその力があたえられておる」 おじいさんはそう言いました。 東の空が明るくなるころには風も雨も小さくなっていました。 ラルが羊小屋に行くと羊たちは寄り添うようにして固まっていました。 よく見ると羊たちは全部死んでいました。 それを見たラルは腰が抜けたようにその場に崩れおちました。 ラルは空を見上げました。 羊たちが次々と空に登って消えていくのが見えました。 ラルの涙があふれる目にはそのように映ったのです。 「ラル、今日は羊たちの葬式じゃ」 おじいさんがラルの後ろに立って言いました。おじいさんは歯を食いしばっていました。 ラルとおじいさんはもう山に帰ってくることはありませんでした。 その後、ラルがどのように生きたかは分かりませんでした。 おわり ジャンル別一覧
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